ROAは総資産利益率と言われ総資産からどれくらい効率的に利益を稼いでいる企業であるかを調べる際に用いられる指数です。ROAについてわかりやすく3分で読める程度でご説明いたします。
総資産でどれだけの利益を稼いだか
ROAとはReturn On Assetsと表記され、総資産利益率と訳されます。企業の保有している総資産からどれくらい効率的に利益を稼いでいるかを見るための指数になります。
似た指数にROEというものがありますが、こちらは自己資本利益率と言われあくまで自己資本のみでの計算になります。自己資本というのは即ち株主が出資しているお金のことなので、純粋に株主のお金をうまく活用できているかを見るものです。
対してROAは自己資本に他人資本、つまり借金などのお金もプラスした上で計算されます。ですので、この数字は業種によっても変わってくると言えます。もともと設備投資などの多額の資産を必要とする業種であれば必然的にROAは低くなりがちです。
ソフトウェアやプログラミング関連などのようなそれほど多額の設備投資を必要としない業種であればROAは高くなりがちです。この場合、ROAが高いからと言ってネット関連の業種の方が良いというわけではありません。
比較する場合は同業種で行うようにします。
ROAは効率よく収益を稼いでいるかの指数
ROAの計算式は以下のようになります。
ROA (%)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
この計算式からも分かるように、総資産が増加するとROAは下がりますし、当期純利益が増加すればROAは上がります。シンプルな話ですが、少ない資産でより多くの利益を稼げばROAは良くなるという図式になります。
ただ前述したとおりですが、業種によってはどうしても設備投資がたくさん必要になるものと必要にならないものがあるため、これらをまとめて比較してしまうと工場系やメーカーの類はどうしても相対的にROAが小さくなりがちです。
だからと言って悪いわけではありません。ROAの全体的な優良企業の目安は5%と言われていますが、これは全体の目標なので業種によっての差があります。単純に数字だけで見てしまうとこの指数の役割が果たせなくなってしまう可能性があるのでお気をつけください。
ROAを見る際に注意すること
ROAを調べる際に注意することもあります。まずは借入金。日本人は基本的に借金は悪いものとしてみてしまう特性があるのですが、企業が資金をうまく活用する際に、低金利で資金を調達することは特に米国企業ではよく行われます。資本効率の良い企業であれば、低利で借入てうまく回せればそれだけ多くの利益を稼ぐことに繋がります。
借入を行えば総資産は増加するので、ROAは低下する原因になります。しかし借入利率が非常に低く、かつ企業の資金効率が良い場合は成長性を加速させる効果を生みますので悪いことではありません。単純に借入があると悪いとはならないとお考えください。ただし、貸出金利が増加していく経済状況にある時は気を付ける必要があります。企業の支払い利息が増えるのでその分業績に影響します。
また、保有資産に運用系の資産があった場合、証券を時価で計算する場合はいわゆる含み益になっていると資産価値が増加しているので、総資産が増えることになりますので、ROAが低下する原因になります。この場合も当然ですが会社が悪くなったわけではありません。むしろ良いことでしょう。
このように、ROAを見る際には気をつけるべきポイントが多くあります。単純に計算して出たROAが低いから、高いからというだけで判断してしまわないように注意してください。
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