現在とある銀行に勤めていますが、いずれはフリーのwebライターを目指しています。理由はこの業界が人の役に立たないから なわけですが、このブログで少しでも実態を発信できればと思います。
三井住友海上プライマリー生命から販売されている「しあわせ、ずっと2」という商品を御存知でしょうか。全国およそ110社以上の金融機関が窓口となって販売されている外貨建ての保険です。
地方銀行にとっては販売手数料が非常に高く、自社で投資信託を販売するよりも多くの手数料収益が見込めることからも積極的に販売されています。しかし、この商品の特性や問題点をイマイチよく理解せずに契約してしまうお客様が多いのが現状です。
株式市場も膠着状態になっていたこともあり、ここ数年で投資信託の販売実績は低調でした。そもそも売買をさせることで購入手数料を取っていたものの、金融庁の方針などもありそういった小手先で手数料を稼ぐことが顧客にとってもメリットがないと怒られたことで短期売買がしづらくなってしまったというのもあり、各社は保険営業に切り替えてきました。
同時に外貨建て保険の苦情件数も増え、2018年の苦情件数は2543件と、4年前と比較して4倍の件数になったそうです。それもそのはずで、この商品はもとより、銀行員側の売り方にも大きな問題があります。
この記事を読まれる方は、金融機関に外貨建て保険の営業を受けており検討している、或いは知り合いや家族が英語湯をされて悩んでいるといった人だと思います。商品性はホームページを見ればお分かりになると思いますので、ここでは営業員側の視点でお話しさせていただきます。
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銀行員の営業はまともに聞いてはいけません。

今は預金金利が低いですよね、申し訳ありません。利回りの良い商品があるのですがご興味は無いですか? なんと利回りが1.65%なんですよ!
これはまず営業の入り口ですね。銀行のお客さんは預金金利に不満を持っている人が多く、そういう方には話を食いついてくれやすいのです。一般の定期預金の利回りが0.01%ですから、それと比べれば雲泥の差です。
しかし、そもそもよく考えてみれば、年利1.65%という数字、これは果たしてそこまで魅力的な数字でしょうか。確かに0.01%よりは魅力的でしょう。ですが、バブル期を知っている方からすればこれが6~7%の利回りと言うのであれば食指が動くのもわかりますが、1%台では10年経っても約17%しか増えません。

実は外貨建ての保険でして、これは万が一があった時には遺す人を決められるので、相続で揉めないですし、相続税の控除にも使えます。その上で高金利で増えていくんですよ。
次に外貨建て保険なんだと説明します。ここで気になるのは、銀行ではどこでも外貨定期預金という商品を扱っています。通常の円建てではなく、手持ちの円を海外の通貨に両替して銀行に預けるもので、この場合解約は自由ですし即日現金化出来るので利便性はこちらの方が上です。
外貨建て保険よりは利回りが劣るものの、そちらでも良いはずなのに何故外貨建て保険を勧めるかというと、当然ながらそちらの方が利回りが高いからです。外貨定期預金の手数料は為替部分だけですが、保険であれば保険会社からの大きなバックが入るのです。営業員はすぐにでも貰える手数料に飛びつくのでこうなってしまいます。
しあわせ、ずっと2は終身の死亡保険です。万が一があった場合には死亡保険金として契約金が受取人に渡されます。ただこの際は手数料を取った上で円に両替して送金するので、その時の為替レートで戻ってくる円の金額は変わります。場合によっては契約した時よりも少なくなって戻ってくることももちろんあり得ます。
また、相続税控除にも使えるというのは正しいですが、保険契約者が被相続人で受取人が相続人でなければいけないというルールがあります。これを知らない銀行員は多く、分からないまま契約して相続税法第12条の適用がされなかったということがあります。

積立コースでは複利で増やしていけますので目標達成も早くなります。定期支払コースでは年に一回利回りで増えた分を受け取れます。これで海外旅行の費用とかにもなりますよ〜。
積立コースは増えた分もそのまま増やしていく複利を活用しているので目標達成しやすいと謳っていますが、この目標設定というやつは、解約控除も考慮されての目標なので、余程市場のプラス影響がない限りすぐにも目標達成できません。最低の105%にしても5年は待つ必要があるだろうと大体の銀行員は言いますね。これは肌感覚でもありますし、積立利率と解約控除を計算した試算結果でもあります。
定期支払コースこそ無価値だと思っています。増えた分を定期的に戻して欲しいのであれば外貨建て債券の方が利回りは高いでしょう。わざわざ保険にするメリットが小さいです。しかも円に両替えする度に手数料をとっています。そもそも保険会社は預かった外貨は海外の債券などで運用しているので、円に戻す時には市場調整と呼ばれるものの影響を受けます。
実はこの市場調整と呼ばれるもの、パンフレットでもあまり細かく書かれていないですし、銀行員も詳しく説明しない部分です。簡単に説明してしまうと、債券の価格と金利は反比例するということです。金利が下がる場合は債券価格が上昇しますし、逆に金利が上がる場合債券価格は下落します。
例えばアメリカドルの債券を持っていた場合、アメリカが金利を引き下げれば債券価格が上昇するので市場調整によって戻ってくるお金は増えることになります。これは保険会社が海外の債券で運用することで起こる事象なのですが、銀行員はそこまで説明時に行なっていないでしょう。
というのも不都合な真実だからというわけではなく、分かっていないのです。銀行員はそもそも金融商品を売るために銀行員になっているわけでは無いので、金融マーケットの知識が疎い行員が多いです。
私に認知で言えば若手の行員、窓口に座っている女性なんかは若ければ若いほど理解していないと言えます。また既に50代すぎている行員は自分たちが営業をやっていた頃にこういったリスク性商品を販売していなかったこともありわかっていない人が多くいます。
試しにしあわせ、ずっと2を提案してきた営業員に市場調整とは何か聞いてみると良いです。すぐに答えられないのであればリスク性商品に疎い可能性が高いのでもうそれ以上営業トークを聞く価値はないですし時間の無駄でしょう。
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まとめ
銀行員が外貨建て保険を勧める理由は手数料です。それ以外にはありません。円建ての保険も取り扱っていますが死亡保険でも全然増えないのでお客さんにもメリットがなくバックされる手数料も低いので銀行にもメリットがないので誰も話題にもしません。
今の銀行は融資利息も得られず、そもそも借りたい人が少ないという窮地に立っており、その穴埋めを金融商品仲介手数料と投資信託の手数料で補おうとしています。銀行が売る理由はそれくらいのものであって、預金金利が低いことを嘆いて少しでも顧客に良い商品を提案したいからでは決してありません。
目先の収益が欲しい銀行は手っ取り早く手数料が入る外貨建て保険を売りたがるんです。利回りが高いと言われれば誰しもが興味のある話です。為替でどれだけの損益が出るかは予測しようもないのですが、その不確定性を利用してきます。銀行員の為替の知識なんてろくすっぽありませんし勉強なんてしてない人がほとんどです。
単純に、家族に残そうと思っているお金があり、どうせこのまま日本円にしていてもつまらないから外貨にして、為替の差損はあっても構わないからこの保険を契約したいという方であれば問題ないですが、単純に銀行から高金利だからどうかと提案されたのであれば契約しない方が良いです。
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