ここ連日、市況環境はコロナウイルスの影響を受けて大幅な調整が行われています。市場に間接的にとは言え参加しているものとしては、むしろここ数ヶ月のやけに強気な相場に疑問を抱かざるを得ない心持ちでした。
相場なんてものは適当で自分勝手な世界です。はじめの頃に中国の武漢を発祥の地としてコロナウイルスが話題になったときも、市況は気にもとめませんでした。次第に発症患者数が増加していってもあくまで中国の一部地域だけの話だと対岸の火事のように他人事でした。
やがて中国国内での影響が強くなり、工場の一部が休業したり閉鎖されたりしても、世の投資家はそこまで危惧しませんでした。しかしやがて中国での売上比率が高い企業などの業績見通しに下方修正が続くことでようやく事態の重さを認識し、一部の投資家が売り始めます。
そうなってくると他の投資家も不安になり売りが続き、この売りがまた売りを生むという連鎖が連なり大きな下落に発展します。ですがこの流れの場合、最初に売りを始めるのは機関投資家やヘッジファンドの利益確定売りです。ですが売りが売りを呼び個人が売りに回るときには、大半の人は損切りになっています。
トレーダーならまだしも、中長期投資家にしてみれば、この程度の売り圧力でどうして保有株式を売却するという判断になるのか理解できません。大半の人は株価だけしか見ていないので周囲が売っていると不安になるんです。
ある企業の今後数年の業績予想見通しを立てるとします。もちろんこれはあくまで概算です。完全に将来を読み通すことなど不可能ですから、ある程度のマージンは取るべきでしょう。
相場というのは全体の動きにも影響されます。市況が過熱しているときには必要以上に買われたりして、異様なほど株価が上昇することがよくあります。これが割高を生み出します。
株が下落することを調整と言いますが、これは株価にこもっている熱を放出して本来の株価に戻すための機能です。私は不当に売られていた銘柄がその後決算で見直し買いが入った時も調整と呼んでいます。調整とは、健全にするためのシステムなのです。
企業がしっかりと営業活動をしていれば、コロナウイルスで一時的に業績に影響が出ても落ち着けば再び堅調な業績に回復するのは予想できるものだと思います。企業に問題があるのならば別ですが、あくまで外部要因の一時的影響です。
こう考えれば、むしろ調整にて株価が下落すれば今まで過熱ぎみで手が出なかった銘柄に投資をする機会が生まれたと考えるのが妥当ではないのでしょうか。なのにどうして順調にキャッシュを稼ぐ企業の株式をコロナウイルスを理由に売る必要がありましょうか。
残念ながら今の市況では、明確な割安株を見つけるのは非常に困難です。世界中が金融緩和に向かっているためお金が市場にあまりまくってる状態で、投資家はどんどこ株式を買っていってしまいます。
できることと言えば優良な企業の株式を無難な株価で買うことくらいでしょう。しかし金融緩和にて株が買われやすくなっているので割高な銘柄が多く、長期投資目線でも買いづらい環境です。
ですが市場が熱暴走を起こせば大変な事態が起こってしまう可能性が出てきます。リーマンショックのような出来事です。市場はそうならないように定期的にクールダウンをするようにできています。
現在の株式市場はそのクールダウンに入ってると思われます。銘柄によってはお買い得水準まで下がっているものもあります。コロナウイルスが落ち着いてくれば市況はまた強気に戻ります。その時に備え、明らかに下がっているものは拾っていくのも良いかもしれません。
ただ、現時点ではまだクールダウンは終わっていないと考えられますので、焦らずに市況を見守るのが良いと思います。
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