金利の高い通貨は下落する

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外国為替レートを決定する理論、前回購買力平価説からみる為替レートの決定要因の記事を書きましたが、今回は金利平衡説という決定理論から為替レートがどう推移していくのかを解説します。とはいえ、細かい説明をしようとすると難しくなってしまうのでこういう理論です、というのをご理解いただければと思います。

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お金は金利の高いところに流れていく

さて、日本円の預金金利がつかなくなって久しいですが、世界を見渡せばまだまだ高金利な国は多くあります。とりわけ新興国は高金利の国が多く、中国やインド、インドネシアやトルコなどの通貨を使った外貨預金や外国債券が人気を博しています。

一般論としてですが、世界のマネーは金利条件の良い方へ流れるという説があります。特に債券投資家などに顕著な動きです。

債券投資家は、少しでも高い利回りと確保できる債券で運用しようとします。しばらく前までは世界的に先進国も利回りが低かったので、仕方がなく新興国の国債などを購入して運用していました。

債券運用において、最も懸念されるリスクというのは発行元の債務不履行の可能性です。債券というのは資金を工面するために発行する証券であり、銀行融資で言うところの金銭消費貸借証書のようなものです。つまりお金を貸している証明書のようなものです。

発行元は債券を発行してお金を貸してもらう。借りている間は利息を支払い、期間が終了すれば元本を返還するという条件でお金を借ります。つまり、投資家側としては発行元がちゃんと利息を支払い、償還時にお金を返却してくれれば損しない商品なのです。

ですので、この発行元が自身の債務をしっかり返済できるかどうかが最重要ポイントになります。債務不履行のリスクが低い債券は安全性が高いということで金利は低めになります。逆にいえば返せる見込みが少なければ少ないほどリスクが高まり買ってくれる投資家が減ってしまうので金利を上げてその分をカバーするんですね。

国債(国が不足する予算を補うために発行する債券など)での比較をしてみると、基本的に先進国の国債の利回りは低いです。もちろんこの利回りには国の金利状況なども考慮されているので倒産リスクが低いほど金利が低いとは一概にはいえませんが。

アメリカは世界経済ではトップの大国です。債務不履行はよっぽどのことがない限り起きないと思われます。そんなアメリカ国債10年ものは直近でおよそ1.8%です。インドは政治的・経済的不安があり、まだまだ発展途上の国でありますが、インド国債10年ものはおよそ6.5%です。南アフリカは途上国では経済発展が目覚ましいですが国としてはまだまだ不安定な国です。この南アフリカの10年もの国債の利回りはおよそ8.2%です。

債務不履行リスクがリターンを決める

このように、債務不履行のリスクは増えるに比例して利回りは高くなります。これは会社が発行する社債に関しても同じことが言えます。投資信託の中には、分配金を多く出すために敢えて債務不履行リスクの高い社債に限定して投資する商品もあります。

ちなみに、債務不履行リスクの高い社債のことジャンク債とよびます。投資信託ではこの名前だと受けが良くないのでハイイールド債券などと読んでいますが、同じ意味です。ジャンク債は債券でありながらリスクが高く、どちらかというと株式に似た売買をされます。通常相場が悪い時は債券が買われやすいのですが、ジャンク債は株と同様に売られることが多いです。

債券投資家は、少しでも利回りが欲しいので、仕方がなくリスクをとって新興国の債券を買い求めるのですが、アメリカが金利をあげればそちらの方が商品としての魅力は増すので新興国債券を売却してアメリカ国債に資金をシフトしたりします。お金の動きなんてこんなものです。良さげのところに集まり、高値になったら一斉に売られて割安な方に向かうのです。

営業トークに惑わされないでください

ここで、営業トークとしてはこんな言い方ができます。

「この国の債券は今世界的にみても金利が高く債務不履行リスクも小さいので世界の投資家から資金が集まってきます。となれば、通貨も買われることになるので通過の価値は上がっていきます。為替差益も狙えますよ」

アメリカの金利が高まることで、世界で有数のアメリカ合衆国の債券が高金利で買えて、しかもドルも買われるので高くなる、なんて聞けば素晴らしい話です。実際にこの話自体は筋が通っています。

ですが、果たして本当にこんな上手いことはあるのでしょうか。上記の例は、あくまで日本人からみた勝手な都合です。取引には相手が必要で、この場合はアメリカ人になるわけです。アメリカ人からすれば自分たちのドルを持っていればそれなりに金利がつくのに、わざわざ金利のつかない日本円に両替したいと思うでしょうか。

答えはNOです。当然ですが無意味に損したい人なんていません。それでは、アメリカ人はどんな時に円に両替するかといえば、今後ドルが安くなり為替差益が狙えそうだと判断した時です。自国の通貨が今後金利以上に安くなると考えれば外貨に両替したくなるでしょう。

このように、金利の高い国通貨は長期的には下落するという考え方が金利平衡説なのです。ただし、この調整はあくまで長期間に渡って行われるものなので、短い期間ではこの補正は起こりません。いつ起きるかも具体的に読めるわけではありません。

それこそ、短期的には金利の高いところにお金は流れていくことはあるので、ご自身がどれくらいの期間外貨投資を行うかでご検討するのが良いと思います。

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