ヘルパーズハイという言葉をご存知だろうか。これは科学的にも複数の国や大学などの機関で研究されその効果を証明されている物であり、また当サイトの掲げる無形資産の拡大と重なるテーマでもあります。
よく何かを行い続けていると気分が上がることを「〇〇ハイ」と表現する。例えば走り続けることでテンションが上がっていくランナーズハイや登り続けることでテンションが上がり恐怖感が麻痺するクライマーズ・ハイなどです。現在では「フロー状態」とか「ゾーンに入る」とかもあります。
ヘルパーズハイは言葉の響きからもなんとなく意味を察する事が出来ますが、人助けを行うことで気分が良くなることです。誰しも意図せず経験したことはないでしょうか。誰かを手助けしてありがたがられた時、特に見返りは無いにも関わらず気分が良くなったこと。
日本の諺に「情けは人の為ならず」というものがあります。これは人のために情けをかけることは、巡り巡って自分に返ってくるという意味です。仏教の因果応報の考え方と通ずるものであり、昔の人たちは経験的に理解していたものでした。
現代社会においては、物が溢れ一人であらゆることが対処可能になったことで、孤独化やコミュニティの崩壊が起きています。これによって昔よりも人との交流が薄れ、このヘルパーズハイを感じられなくなっている人が増えているのではないかと思います。
当サイトでは無形資産の増加を人生で比重をおくべき大事としていますが、ヘルパーズハイはそれを助ける一助となるものです。無形資産とは能力、近しい人を作る、コミュニティに属することと定義していますが、ヘルパーズハイになるためにはこの無形資産を増やそうとしなければいけないわけですから、幸福のための良い循環ができるのです。
人は、他人や社会の手助けをした時、ドーパミンが分泌されます。一般的にはやる気ホルモンと言われるもので、行動を持続させるために必要な神経伝達物質です。ドーパミンが少なくなってしまうとやる気が起きなくなってしまうので、大切な分泌物質だとお分かりいただけると思います。
このドーパミンは激しい運動や親切を行うことで分泌されます。そうすることでやる気がおきて人生に対して挑戦的になれるのです。保育園で子供の面倒を見る高齢者には唾液にあるコルチゾールやエピネフリンといったストレスホルモンが低下したという研究結果や、他人や不特定の何かのために親切にしたグループと自分を甘やかした場合と何もしなかった場合のグループに分けて数週間後にモチベーションを調査したところ、他人や不特定の誰かのために親切にしたグループのモチベーションが一番上がったそうです。
「幸せとは、何かを得るのではなく、むしろ与えることで見出せるもの。生計を支えるものは得たものだが、人生を支えるのは与えたものなのだ」とある海外の作家で学者の言葉です。与えることで満足感を感じる事ができれば、余計なお金も使わなくて済むかもしれないのです。
ただし、間違ってはいけない事があります。人に与える、施す事が大切なのは間違いありませんが、だからと言って、自己犠牲ばかりしていてはストレスの方が強くなってしまい、いずれはあなた自身をボロボロにしてしまうかもしれません。
人のためになることをする、支援するというのは大切ですが、やり方を間違ってしまうと逆効果になりかねません。例えば、他人が喜ぶことをするという実践として、あなたが持っている資産を他の人にどんどん分け与えていったとします。素晴らしい自己犠牲ですし、与えてもらった人は嬉しいでしょうが、あなたはどうなるでしょうか。
自分が持っている全てを分け与えてしまい、手元に残ったものは何もない。真っ当な生活をしていくことすらままならなくなってしまったら、果たしてあなたはそれでも幸せと言えるのでしょうか。中国の故事に『衣食足りて礼節を知る』という言葉がります。物質的に不自由がなくなって、ようやく礼儀に心を向ける余裕が生まれるという意味です。
誰かのために何かをする、というのはあなたの物やお金を直接相手に分け与えることとは限りません。分け与えてばかりいてはあなたのお金は次第に減っていき、いずれあなたが不幸になります。人のためというのはそうではありません。
知り合いのボランティアをやっている方はこう言います。
「貧しい人たちに与えるのはお金では無い。直接お金を渡してしまうのは簡単、でも、それではいずれお金はなくなってもっと欲しがるようになる。そうやってお金をどんどん渡してしまうことでは何も解決しない。例えば食料は足りないというのなら釣りの仕方を教えるのだ。そうすれば、食料がなくなった時に自分たちで食料を調達する技術を得られる。お金がなくても問題は解決できるのだ」
お金が無くて困っている人にお金をあげていけば、あなたはやがて大半の財産を失うことになるでしょう。なぜなら、相手はお金の正しい使い方を理解していない可能性が高いから。でも稼ぎ方やお金の使い方、増やし方を教えてあげればあなたも相手も将来に良い影響を与えられるかもしれません。
自己犠牲は場合によってはただの傲慢な自己満足でしか無いかもしれません。真の互恵とは与え、与えられることです。一方がひたすら与えるだけではありません。相手の喜ぶ顔が見られることで与えられていると思っても、次の日もそっけない態度であなたに接してきた時、あなたはモヤモヤした気持ちになるでしょう。
相手は与えられた一瞬だけしか喜びを感じていないからです。一瞬の喜びのためにあなたが自分のお金や時間を与えることは、必要でもない物を時間とお金を使って買うのと同じようなものです。結果的には誰も幸福にしないのです。
他者を助けヘルパーズハイになるのは良いことです。ただし、その行為は確かに両者にとって良い将来へ結びつく行為なのかはしっかりと考える必要があります。ただ相手に尽くすだけでは本当の幸福にはなれないと気づいてください。
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