私たち日本人が普段、何気なく飲用している緑茶についてどれくらい知っているでしょうか。飲むと気分がすっきりするとか落ち着くとか、なんとなく感じることがあると思いますが、実はしっかりと理由があるんです。

そもそも緑茶とは
私たちが普段飲用している日本茶は、主に緑茶が大半を占めています。緑茶はチャノキと呼ばれるツバキ科の常緑樹の茶葉や茎を収穫し、蒸して揉み潰して乾燥させ製造されたものから作られます。
チャノキは5月中旬にまず茶摘みが行われます。これを一番茶と呼びますが、一番茶はお茶の代表的な成分であるタンニンやテアニンが豊富に含まれているため、その後の二番茶・三番茶と比べて上質とされます。
茶摘みされた荒茶を加工する過程において幾つかの分類が行われます。茶葉のみを抽出する工程で、茎の部分は取り除かれます。この茎を使用して作られるお茶を茎茶や棒茶と呼びます。
需要の低い部位のため安価で手に入りますが、実は葉の部分よりもテアニンやピラジンの含有量が多いです。テアニンは光合成を行う過程でカテキンに変化しますが、茎は光合成を行わないため旨味が強く出るのです。
香り成分が多く含まれているため、焙じた際の香りもまた一段と強いことが特徴で、そのため茎茶を好んで飲む方もいるそうです。
緑茶の種類

単にに緑茶と言っても部位や加工方法によって色々な種類に分けられるのが緑茶の特徴です。分類によって含まれる成分が大きく異なってくることもありますので気をつけたいところです。
玉露
チャノキを栽培する過程で、最低でも茶摘みする2週間前から日光を遮るための覆いを被せることでテアニンが光合成によってタンニンへ変化するのと防ぐことで作られる。
これによって旨味成分であるテアニンが多く、渋み成分のタンニンが少なくなることでお茶の甘みが特徴的です。甘み成分を生かすためには低温で成分を抽出する必要があります。
茎茶(棒茶)
荒茶の加工過程において茶葉から切り離された茎の部分で作られるお茶。茶葉と比較して需要が低いため茶葉よりも安価で販売されることが多いが、お茶の旨味成分や香り成分であるテアニンやピラジン類は実は茎の方が多く、光合成をしない分被覆する必要もない。
玉露や高級煎茶の茎は雁が音(かりがね)と呼ばれ重宝されます(京都では茎の部分をかりがねと呼びます)。香り成分であるピラジン類を多く含有しているため、焙じた際の香り高さは魅力です。
煎茶
一般的に緑茶と言われる場合、この煎茶を指すことがほとんどだとされます。一般的な方法で茶摘みから荒茶加工まで行われた茶葉で抽出するお茶です。一般的な方法ではない過程で加工されたもの・規格外のものは番茶と呼んで区別しています。
番茶も細かく分類すると多くの種類があります。大きな葉や茎を使う点では煎茶とは別物として扱われています。ちなみに煎茶は等級によって適した浸出する際のお湯の温度が違います。上級のものほど低温が良いとされ、良いものであればお湯の温度は70度が適温です。
抹茶
お菓子や茶道にも使われ、海外でも読み方はそのままMatchaと表現されるお茶です。煎茶とは種類が異なり、碾茶が原料となります。碾茶は玉露と同じようにチャノキを茶摘みする前に被覆し日光を遮る栽培方法により作られます。この碾茶を揉まずに石臼などで挽くことで抹茶が出来るのです。
抹茶の味は再現不可能と言われ、お菓子やケーキなどで抹茶味という場合、実際に本物の抹茶が使われます。成分を浸出させる煎茶と違い茶葉そのものをいただくため、葉に含まれる栄養を丸ごと摂取することができます。
緑茶の効能

お茶は近年では健康志向に適した飲料として日本国内のみならず海外でも注目されています。お茶が体に良いというのはなんとなく聞いたことがあるとは思いますが、飲用方法によっての成分が変わります。
旨味成分のテアニン
お茶の甘みや旨みを担当しており、健康に良い成分の大部分を占めている成分です。テアニンは太陽の光を浴びて光合成をすることでタンニンに変化するので、日光を遮る栽培方法を行う玉露や抹茶は多くのテアニンを含みます。
テアニンはチャノキの根で作られ、茎を経由して葉に渡ります。なので葉よりも茎に多いのです。テアニンは脳神経伝達物質のドーパミン濃度を上昇させます。興奮を沈め、抗ストレス作用の効果があります。
テアニンを摂取することで脳にα波が発生し、リラックスした状態になります。血圧効果作用に加え睡眠の質を改善する効果も認められています。精神安定効果を期待でき、また免疫力向上の作用もあるとされているため、非常に有能な成分であるといえます。
渋み成分のタンニン
お茶を飲むと渋みや苦味を感じますよね、これはタンニンというカテキンの効果によるものです。前述のテアニンが日光を浴びることで変化するため、テアニンとタンニンをどのような割合にするかで旨味と渋みの比率が変わってくるといえます。
タンニンは赤ワインや柿にも含まれるポリフェノールの一つで、主な効能は抗酸化作用、抗菌作用です。人間の細胞は活性酸素と呼ばれる酸素があるのですが、過度な運動やストレスがかかると過剰に活性酸素が体内にできてしまいます。
この活性酸素は細胞を傷つけ老化を進行させたりがんや生活習慣病を引き起こす原因になります。適度な運動と正しい食事習慣が出来ていれば体の機能が活性酸素を適量に保つことができるのですが、この現代、色々なストレスに晒されてこの機能がうまく調節できないこともあります。
タンニンはこの活性酸素を不活性化させることができます。また抗菌作用によりウイルスや菌を不活性化させる効果も認められています。お茶でうがいをすると効果があると言われるのはこのためで、口臭予防にもつながります。
カフェイン
チャノキにはカフェインが含有されていることも有名です。カフェインは興奮覚醒・強心作用があることで有名で、コーヒーや最近ではエナジードリンクに多く含まれています。風邪薬にも入っていますが、こちらは鎮痛目的が主です。
緑茶のカフェイン量はコーヒーと比べれば少ないですし、チャノキにはリラックス効果を発揮するテアニンが含まれているので、他の飲料と比べれば覚醒作用は穏やかだといえます。
むしろテアニンと合わせて引用することで認識力や集中力を高める効果も期待できます。どうしてもカフェインを抑えたい場合はほうじ茶や玄米茶ようにカフェインが少ないお茶を選ぶかデカフェの市販茶飲料も選択肢に挙げられます。
緑茶は日本を代表する健康飲料

いかがでしたでしょうか。普段何気なく飲んでいる緑茶は、実は非常に健康に良い飲み物でした。それでいて飲んだときにゆっくりと落ち着いた気分にさせてくれて、穏やかな気持ちになれる素晴らしい飲み物です。
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