外貨建て保険「おおきな、まごころ」にはご注意を。

この記事は約5分で読めます。

三井住友プライマリー生命が銀行窓販等で積極的に販売している外貨建て保険の「おおきな、まごころ」について、メリットは色々言われているでしょうが、デメリットについてお話しさせていただきます。予め書いておきたいことですが、三井住友プライマリー生命だけを名指しで批判しているのではなく、同様の保険を販売する全ての商品に対しての説明とお考えいただければと思います。

おおきな、まごころ | 三井住友海上プライマリー生命
おおきな、まごころです。三井住友海上プライマリー生命では、ゆとりある老後のための選択肢として、終身保険や個人年金保険など多彩な商品をご用意しています。
スポンサーリンク

死亡保険は必要ですか?

死亡保険というのは、万が一があった際に家族にお金を残せる保険ですが、根本的にこの種類の保険が本当に必要なのかはよく考えなければいけません。結婚して家族を持ち、子供も生まれ、これからガンガン家族を養わなければいけないぞ、という人にはとても必要性があると言えますが、既に60代70代の人で、お金を増やして残したいという方はどれだけいるでしょうか。

私も営業しているのでわかるのですが、ある程度の年齢になられている方は、もうお金をたくさん増やしたいとお考えになる方は少数で、残りの人生でどうやってうまくお金を使っていくかを考えている方の方が多いです。

死亡保険は亡くなった時に少しでもお金を増やして残しましょうというものですが、それならば別に預金のままでも良いではないでしょうか。損する危険性を受け入れてまで少しでもお金を増やしたいのでしょうか?

相続対策としてなら悪くない?

それでも保険にするのは、相続税控除の対象になるから、お金を振込先を指定できるので相続で揉めないから、といったところでしょう。

現在の相続税法では

500万円 × 法定相続人の数 =相続税から控除される資産

このように、被相続人の総資産の中からこの分が相続税の計算をする際に控除できるのです。基礎控除してもまだまだたくさんの資産があるよ、という方には資産圧縮に使える手法ですので、このために使うというのであれば契約する理由にはなります。

しかし、そんなにお金はないわ〜という方であればそもそも死亡保険に入る必要性はないとも言えます。相続には公正証書などを使って遺産の割り振りを決めることもできるわけで、保険が全てではありません。

死亡保証は外貨建てで、3年の円での保証はあくまで預けた分だけ。

この保険の最大のメリットは、円建ての死亡保険よりも高金利で死亡保障を受けられるというものですが、ここに関してもあくまで外貨ベースです。円で増えるわけではないので気をつけてください。また当初の3年間は円での最低保証というものがありますが、一時払い保険料と同額です。増えるわけではありません。

中途で解約する場合は解約控除が適用されるので短期での解約は元本割れの可能性が高くなります。また為替レートによって円換算額は変動しますのでこれも不確定要素になります。いずれにせよ行きと帰りで為替手数料がかかるのでおよそ1%は手数料を取られることになります。

銀行と保険会社の罠に陥らないで下さい。

私がここで問題としたいのは、この商品性よりも銀行員側の営業姿勢であると言わざるを得ません。今の地方銀行の主要な預金顧客はいずれもが高齢な方々です。若い人は首都圏に行ってしまったりネット取引がほとんどなので銀行員は会うことすら出来ないのがほとんどです。

融資利息が減少して金融商品手数料で稼ぐ必要がある銀行ですが、銀行が販売できる金融商品は投資信託と保険しかありません。正確には他にもありますが手数料が入ってこないので誰も売ろうとしないのが現状です。

投資信託はあくまで資産を増やすのが目的です。しかし、販売対象の高齢者の方々は損するリスクをとって資産を増やす期待をするよりも、今後のお金をどうやって消費していくかを強く意識しています。ある程度の余裕資金がないと、投資信託での運用は難しいのです。

では保険はというと、円建ての保険も扱ってはいますが、如何せん手数料が入ってこないので売り辛いのです。円建ての保険を契約とってきた、などとお店に報告しようものならどうして外貨建てで売らないんだと怒られるくらいです。

外貨建てになれば、どうしても為替と金利の話にならざるを得ません。メリットは高金利で増えること、デメリットは為替によって損することです。結局は資産運用の話になってしまう。顧客がもとより悩んでいるいかにして堅実に消費するかについては触れません。

外貨建て保険を提案された方は、この銀行側の現状を理解した上で営業員のお話を聞いてみると、銀行員が本当に顧客のことを考えてアプローチしてきているかがなんとなくわかると思います。そもそも死亡保険にする必要はないはずです。それでも死亡保険を推してくるのは保険会社にとって死亡保険の儲けが非常に良いからです。だから仲介させる銀行にも死亡保険ばかり供給するのです。

この保険の営業トークの一部をご案内しましょう。

銀行の預金金利って低いわよね〜。どうにからならないのかしら?

銀行員
銀行員

良い商品ありますよ。「おおきな、まごころ」という保険なんですが、外国の通貨で運用することで高金利で運用できます。目標設定をするので為替が円安になれば自動で利益確定してくれますよ。しかもこれ、3年後には死亡保証がすごい増えるんですよ。仮に円高になっても安心ですよ!

割とこんな感じに謳い文句は多いですね。この保険の狙いは死亡保証にも資産運用にもどちらにでも使えることです。うまく円安になって資産が増えれば自動的に円に切り替えてくれるので、増やす機能を持っています。さらには円高になってしまっても3年後には死亡保証が外貨ベースとはいえ上がっているので言い訳が成り立つんです。

どうですか? こう言われると悪い気はしなくないでしょうか。円安でも円高でもとりあえず安心感が持てるなら良いかなあなどと考えてしまうものです。ですがよく考えてください。色々説明はされますがこの保険は死亡保険です。まずは死亡保険が必要であるかです。円高になっても死亡保証は増えると言っても、あくまでそのお金はあなたのお金ではなく受取人のお金です。自分で使いたいならなんの安心材料でもありません。

死亡保証が欲しいなら円建てだって良いはずです。また資産運用がしたいのならこんな解約控除が取られる流動性のない商品よりももった売買しやすいものがたくさんあります。そちらを検討した方が良いのではないでしょうか。

ご契約をする際には、幅広い視点に立って契約するかよく考えてみてください。一度契約してしまえば当分は手元に戻ってこない保険ですので、安易に契約書にサインするのは禁物だと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました